研究概要 |
1.シクロデキストリンポリマーによる染料含有廃水の吸着処理・・水溶性シクロデキストリンポリマーとしてクロロメチルオキシランで架橋したβ-CDを,不溶性シクロデキストリンポリマーとしてβ-CDの水酸基をエピクロルヒドリンで三次元的に架橋して得られた樹脂を用い,構造の異なる各種染料の結合及び吸着特性を検討した。実際に平衡透析法及び平衡吸着法により,各種染料の水溶性及び不溶性シクロデキストリン含有吸着剤に対する吸着能を比較検討したところ,1)水溶性ポリマーへの染料の吸着は,一般に染料のアルキル鎖長が長くなるにつれて増加する傾向を示した。2)不溶性ポリマーへの染料の吸着は,水溶性ポリマーと比べてその吸着能は相対的に低かった。3)OSQR値と吸着能の関係において,表面積と吸着能の関係が一番良い相関が認められた。これらの結果,水溶性ポリマー系においてはシクロデキストリンの空洞への包接が主として起こり,高分子ゲルの三次元の網目の格子間への結合も無視出来なく,また,不溶性ポリマー系ではシクロデキストリンの空洞よりむしろポリマー表面への疎水的吸着が主として起こり高分子ゲルの三次元の網目の格子間への結合も無視出来ないことを示している。以上の結果より,その吸着機構の相違を解明するととも,廃水処理に関する基礎知見を得た。 2.シキロデキストリン誘導体による包接作用の分子モデル計算・・・平成10年度から引き続き,染料及び界面活性剤とCD誘導体のコンプレッキス形成時のエネルギーを分子力場計算より求めた。得られた安定エネルギーの結果から,染料及び界面活性剤がどのようにCDに結合されるかを推定し,実験から得られた結合定数との相関関係を明らかにし,CDの役割を考察した。
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