研究概要 |
染料及び界面活性剤含有廃水の選択的吸着処理に関して,以下の知見が得られた。 1.構造の異なる酸性染料のシクロデキストリン(CD)含有ポリマーへの吸着性を検討した結果,水溶性ポリマーへの染料の吸着は,一般に染料のアルキル鎖長が長くなるにつれて増加する傾向を示し,不溶性ポリマーへの染料の吸着は,水溶性ポリマーと比べてその吸着能は相対的に低く,OSQR値と吸着能の関係の結果では,表面積と吸着能の関係が一番良い相関が認められた。 2.非イオン性界面活性剤及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(NaDBS)のCD含有ポリマーへの吸着性を検討した結果,非イオン性界面活性剤の吸着は,一般にエチレンオキシド付加モル数が長くなるにつれて減少する傾向を示した。また非イオン界面活性剤存在下でのNaDBSの吸着において,エチレンオキシド付加モル数が増加するにつれて,各混合割合ともNaDBSの吸着量は減少する傾向を示した。 3.アルキル鎖長の異なるメチルオレンジ同族体とα-,β-,及びγ-シクロデキストリンとの相互作用を検討した結果,この系において染料とCDの結合はα-及びβ-CDの場合1:1の包接体を,γ-CDの場合は2:1の包接型であると考えられ,Benesi-Hildebrandの式を用いて結合定数を求めた。熱力学パラメーターの結果より,結合は発熱反応であり,結合のエンタルピーとエントロピーは補償関係にあることがわかった。 4.蛍光プローブ及びアルキル鎖長の異なるアルキルスルホン酸とCD及びダブルCDホストとの相互作用を検討した結果,CDによる疎水性側鎖を有する蛍光プローブ(BNS)の結合において疎水性側鎖及びCD環のサイズにより結合定数が大きく変化することが認められ,BNSの包接において,ダブルCDはβ-CDと比較すると,すべての系において,CD単独と比べて,驚異的な結合定数が得られた。各W-β-CDについては,蛍光プローブの場合,メチレン鎖長が増えるにつれて,結合定数は減少した。
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