研究概要 |
研究者は従来よりODの母子相関に注目し今迄にパイロットスタディを行ってきたが、その結果OD児はOD傾向をもつ母親の子供である確率が高いことが明らかになっていた。このことはOD児が遺伝的に説明されるということを意味するのではなく、同一の家族内で同様のライフスタイルをとることや親の養育態度、躾に大きく依存するものと考えられた。本研究では同一家族内に生活する児童生徒と親のライフスタイルと不定愁訴症候群の相互作用及び関係を明らかにし、家族がもつ児童生徒の心身の健康への影響を構造として析出しモデル化するつもりである。 そこでこの研究の初年度の作業として、宮城、新潟、千葉、愛知、島根、広島各県の児童生徒約6,000名を対象として、ライフスタイル、運動、学習、食事・栄養、不定愁訴、いじめや学校拒否、血圧、体格などの項目の調査結果を解析した。 まず因子分析を施して13因子が抽出されたが、その中で明確な結論が得られたものは以下の点である。まず不定愁訴因子が第1因子として抽出された。この因子の個人毎の因子得点の学年変化は学年とともに高くなる傾向にあり、年齢とともにOD傾向が強くなる。一方、女子は男子よりもOD傾向はいずれの学年でも高かった。これに対して第2因子の就寝、習慣等のライフスタイルに関した因子得点は学年とともに確実に低くなっていた。つまりライフスタイルは年齢とともに乱れODは増加するのである。 この明瞭な結果から年齢階梯とライフスタイル及びODが逆の相関関係にあることが知られた。
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