1.我々が日常生活において多くの時間を過ごす生活環境での大気質は、快適性および人体の健康確保のために重要な要因である。しかしながら、室内環境における系統的なデータは不充分な現状にある。本研究ではNO_2、HCHOおよび真菌に着目して、その挙動を解明することを目的としている。 2.東京都および周辺県の一般家庭約100軒を対象に、1999年夏期7月および冬期12月の2回にわたり、NO_2およびHCHO濃度を測定した。各家庭の居間に、3日間継続して受動型捕集器を懸架した。回収後、それぞれの化学分析を行い、空気中濃度への換算を行なった。また、各家庭の居間に10cm×10cmの綿布を1週間吊り下げ、回収後、滅菌水で真菌を抽出した。抽出後、PDA平板およびM40Y平板の2種類の寒天培地で培養した。発生した真菌の個体数をカウントし、種類の同定をした。 3.夏期においては約100軒の居間でのNO_2濃度は15〜50ppbの範囲に分布し、一方、冬期においては30〜130ppbの範囲に分布していた。使用した暖房器具との関連があり、石油ファンヒーター、石油ストーブ、ガスストーブを使用した家庭で高濃度になっていた。 夏期のHCHOでは、築年数の少ない、もしくはリフォーム後の家庭がHCHOの環境濃度が高かった。その回帰式はy=21.58x^<-0.2418>、x:築年数。また、冬では10〜15ppbでの頻度が最も多く、HCHOの発生には、温度および湿度の影響が大きいことがわかった。 さらに、真菌の綿布への付着数は、冬期よりも夏期のほうが約2倍程度が多かった。これは、Aspergillus群、Penicilliumなど少数の真菌を除いて多くの空気中浮遊真菌は高湿度を好むことが要因であると思われる。
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