研究概要 |
平成12年度は,11年度に検討したパッシブサンプラーを用い,実際の家屋(n=8)・居住者(n=16)を対象に,10年度に検討した手法とともにクロルピリホス・ぺルメトリンの環境モニタリングおよび生物学的モニタリングの実用性を11年度に追加して調査した。併せてHCHOやVOCs室内空気汚染の調査ならびに建築物情報や生活状況、健康状況等の調査も行った。 その結果,シロアリ防除を行った家屋の居室空気中からはクロルピリホスが21〜26ng/m^3検出され,居住者からは尿中代謝物である3,5,6-トリクロロ-2-ピリジノールが3〜18μg/g・creatinine検出された。一方,居室空気中ペルメトリンはシロアリ防除にかかわらずND〜61ng/m^3であり,尿中代謝物の3-フェノキシベンゾイックアシッドはND〜48μg/g・creatinineであった。また,HCHOは18〜103(新築家屋)μg/m^3,VOCsはトルエンが最高95μg/m^3(新築家屋),p-ジクロロベンゼンが最高183μg/m^3(防虫剤使用家屋)検出された。建築物情報や生活状況、健康状況等との関連についてはまだ十分検討できていないが,シロアリ防除家屋あるいは新築家屋・防虫剤使用家屋の空気環境には問題の多いことがうかがえる。 このように,今回,我々は化学物質室内空気汚染リスクアセスメントのための手法開発を行ったわけであるが,実際の家屋で試行した結果,その実用性の高いことが示唆された。
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