研究課題/領域番号 |
10680134
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研究機関 | 富山女子短期大学 |
研究代表者 |
尾畑 納子 富山女子短期大学, 生活科学科, 教授 (60201406)
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研究分担者 |
桑原 宣彰 富山女子短期大学, 生活科学科, 教授 (80249101)
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キーワード | 酸化鉄粒子 / 高分子ビルダー / 環境負荷 / ポリビニルアルコール / αスルホ脂肪酸ナトリウム / 農薬 / ガスクロマトグラフィ / 有機溶剤 |
研究概要 |
本研究は汚れ除去の困難な酸化鉄粒子および農薬などに対して、洗浄性に優れ、環境に負荷を掛けない洗剤の設計と洗浄方法の開発を目指したものである。今回は、洗剤成分中のビルダーに着目し、生分解性が高く、洗剤の少量化に役立つ高分子ビルダーとして、カラギーナンなどの天然高分子を応用した基礎的な検討を行った。 1.酸化鉄粒子汚染布の洗浄性:酸化鉄粒子汚れの汚染布に対して、PVA、スルホン酸変性PVA、カルボン酸変性PVA、カラギーナン、CMCなどの高分子ビルダーを用いて、綿布、ポリエステル布に対する洗浄性について調べた。その結果、綿の洗浄性は比較的よく、特カラギーナン、CMCが効果的であった。しかし、ポリエステルはいずれも除去率が20%程度と低かった。 2.湿式人工汚染布の洗浄性:実用的な観点から、界面活性剤と高分子ビルダーとの混合系でJIS指定の人工汚染布を用いて洗浄性を調べた。洗浄効果の高い界面活性剤は植物油脂を原料とした分解性の高いαスルホ脂肪酸塩(SAS)であり、また、高分子ビルダーと組み合わせた系では、このSASとスルホン変性PVA(S-PVA)との共存系が効果的であった。従って、こうした組み合わせによる洗剤組成が、衣料用洗剤の少量化に繋がることが予測される。 3.農薬汚染布の洗浄性:サリチオンによる汚染布の効率的な洗浄方法を検討するため、まず、除去性の評価方法について検討し、ガスクロマトグラムによる分析方法を確立した。この方法を用いて、綿、ナイロン、ポリエステルに対する種々の洗浄条件下での洗浄性を調べた。綿では水洗浄で十分除去できるが、ナイロンでは、洗剤やアルカリ液での洗浄浴が有効であった。しかし、ポリエステルではこれらの最適条件を組み合わせた場合でも50%〜60%程度の除去率であった。そこで、溶剤洗浄を行ったところ、20℃では酢酸メチルが最も効果的で、40℃では使用した溶剤のほとんどで除去性が向上した。この点については、溶剤、繊維の溶解度パラメーター値から説明することができた。 今後は、さらに汚れと洗剤成分の化学構造の詳細な解析を行い、洗剤への応用のための検討を進める予定である。
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