研究課題/領域番号 |
10680138
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
家政学一般(含衣・住環境)
|
研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
奥野 温子 武庫川女子大学短期大学部, 生活造形学科, 教授 (60085248)
|
研究分担者 |
浅野 昌美 , 助手 (40301717)
安田 武 サカイオーベック(株), 顧問
吉田 恭子 武庫川女子大学短期大学部, 生活造形学科, 助教授 (80182757)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
キーワード | 被服材料 / 低温プラズマ / 接触角 / ESCA分析 / 表面処理 / 親水性 / 撥水性 / 染色性 |
研究概要 |
被服材料の外観・風合いは多様化し、種々の感性を持ったものが求められている。特に、被服材料の表と裏は、コーティングやラミネートなどの加工によってきたが、剥離やクリーニング等により効果が低下するなど問題も多く、見直しがなされている。その中で、繊維の本質に影響を及ぼさず、布の表面のみを改質して、表と裏で異なる機能を持つものが得られれば、被服材料の機能面はもちろん、ファッション性においても多様化が期待できる。そこで、水や溶媒を使用しないプラズマ加工を手段として、バイラテラルな新素材の創製を検討した。 試料として、ポリエステル及びナイロン6の織物、また、織物で得られた結果の基礎的知見を得るため、被服材料のモデルとしてポリエステル及びポリエチレンフィルムを使用した。 プラズマ加工の親水性処理にはAirガスを、撥水性処理にはCF_4ガスを用いた。試料は表裏相互にプラズマガスの影響を最小限にするため、試料を二つ折りにするなど工夫をした。また、処理効果は、接触角とESCAによる表面分析によった。結果、まず、Airガスで一方の面を処理し、次ぎにその裏側からCF_4ガスで処理を行った場合に、片面が親水性、もう一方の面が撥水性を示し、表裏で性質の異なる試料が得られた。しかし、処理ガスの順序を逆にした場合には表裏ともに親水性を示し、差は認められなかった。この事実は、ガス状でのプラズマ処理において、競争的にいずれの原子が強固に結合するかを解明する必要があり、バイラテラルな試料作成時に、特に考慮すべき問題であることを提起し、電気陰性度との関係から分子の離脱傾向の有益な知見を見出した。また、リバーシブル効果を目的とし染色を行った結果、付与された親水・撥水性の性質に影響を与えることなく、親水性部分は濃色に、撥水性部分は淡色にと、両面で色相の違いが見られ、当初の目的が達成された。今後実用化に向けて、消費科学的見地より研究を展開し、新加工の実現が期待されるところである。
|