1. 研究目的 食品の直火焼きを行う際に木炭を用いると良好な成績のものが得られるとされており、昔から調理に利用されている。そこで、木炭焼の特性を明らかにすることを目的に実験を行った。 2. 実験結果 (1)放射伝熱の割合について:炭火で加熱するとの伝熱方法は放射伝熱と対流伝熱が混在すると考えられので、全伝熱量の内放射伝熱の占める割合を特別に試作した熱流計で測定した。その結果炭火で加熱した場合の放射伝熱の割合は、約80%であり、ガスコンロの上に金属製の魚焼き網を置いた場合や、電気のヒーター(1.2KW)を用いた場合はほぼ同等な値を示したが、ガスコンロをそのまま使用したときには、約30%の値を示し、放射伝熱の割合は大きく異なった。 (2)モデル食品の表面温度と焙焼成績:成形したはんぺんや鶏肉を使用し、被加熱物の受熱量が一定になるように調節して一定時間加熱したときの食品表面の温度を放射温度計で測定し、更に焼き色やクラスト層の厚さを測定した。その結果、放射伝熱の割合の同じには食品の表面温度はほぼ同じになり、表面の焼き色やクラスト層の厚さにも差が見られなかった。放射伝熱の割合が低いときには表面の平均温度は低く、焼き色が薄くむらが大きかった。(3)焙焼した食品の匂い:官能検査の結果、炭火で加熱したものと他の熱源を用いたものには差が認められた。エレクトリックノーズを使用して測定した結果、炭火加熱のものは他の熱源とは異なるパターンを示した。 3. まとめ 実験結果より、炭火加熱は放射伝熱量が多く、食品の表面温度を上昇させよい焼き色をつけることが明らかになった。同等の放射割合を持つ熱源で焙焼すると同等の焼き色が着いたが、匂いには差があり、炭火焼のものは独特の香りがあることが明らかになった。今後は匂いの差について検討することが課題である。
|