研究課題/領域番号 |
10680145
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
下位 香代子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (10162728)
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研究分担者 |
木苗 直秀 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (00046286)
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キーワード | フラボノイド / ルテオリン / 生体内抗酸化性 / アスコルビン酸 / 小核 / アドリアマイシン / 8-OHdG / 酸化的DNA損傷 |
研究概要 |
本年度はフラボノイドと抗酸化ビタミンとの生体内複合効果について以下のように検討した。 (1)アドリアマイシンによる生体内酸化ストレスに対するフラボノイドの抑制効果 マウスに制癌剤のアドリアマイシンを投与し、血漿の抗酸化性、骨髄中のアスコルビン酸量および末梢血網赤血球中の小核誘発頻度を調ベ、それらに対するルテオリンとαG-ルチンの影響を検討した。アドリアマイシンを投与すると、非投与群と比較して抗酸化性の低下が見られたが、ルテオリンおよびαG-ルチンの投与によりその低下が抑制された。骨髄中のアスコルビン酸量も、アドリアマイシンの投与により減少したが、ルテオリンおよびαG-ルチンの投与により、その減少が抑制された。ルテオリンやαG-ルチンを経口投与した群ではいずれもアドリマイシン末梢血中小核誘発頻度が有意に低下した。以上の結果から吸収されたフラボノイドがマウスの生体内で抗酸化性を発揮し、アドリアマイシンの副作用である骨髄機能抑制を軽減する可能性が示唆された。 (2)生体内におけるフラボノイドとアスコルビン酸との相互作用 アスコルビン酸を合成できないODSラット(日本クレア、6週齢・♂)をアスコルビン酸欠乏飼料により1週間飼育し、フラボノイドとアスコルビン酸の相互作用についてFPG(8-OHdGなどの酸化変性したプリン塩基を認識して除去するDNA修復酵素の1つ)を用いるコメットアッセイにより検討した。FPGによる処理を行わない場合、いずれの臓器においてもDNA損傷性は見られなかった。しかし、FPGによる処理を行った場合、酸化的DNA損傷の増加が観察された。アスコルビン酸が欠乏すると酸化的DNA損傷が増加し、アスコルビン酸またはquercetinを補充すると酸化的DNA損傷の誘発は抑制される傾向が見られた。従って、フラボノイドはアスコルビン酸の減少に対してそれを補うように作用すると思われた。
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