研究概要 |
(1)フラボノイドの吸収・代謝機構 : ルテオリンをモデル化合物として、ラット個体、ラット反転腸管を用いて吸収機構を調べたところ、ルテオリン配糖体は加水分解されてからルテオリンとなって吸収されること、吸収時に抱合化されることがわかった。血中および尿中の主要代謝物はモノグルクロン酸抱合体であることをLC-MS分析により確認した。フリーのルテオリンは15分後に、グルクロン酸抱合体は30分後に血中濃度が最大となり、尿からの回収率は約4%であった。また、ヒト血中にもラットと同じように、フリーのルレオリンおよびモノグルクロン酸抱合体が存在することを明らかにした。 (2)フラボノイドと抗酸化ビタミンとの複合効果 : ルテオリンと抗酸化ビタミン(α-トコフェロールおよびアスコルビン酸)を単独では弱い抗酸化性を示すような濃度で混合して、ラジカル発生剤であるAAPH(2,2-azobos(2-aminopropane)dihydrochloride)による脂質過酸化に対する抗酸化性を検討したところ、3種混合したものが最も強い抗酸化性を示し、複合効果が見られた。一方、マウスにおいてルテオリンとαG-ルチンは制癌剤のアドリアマイシンによるアスコルビン酸の骨髄中濃度の減少を抑制し、末梢血網赤血球中の小核誘発頻度を低下させた。 (3)生体内におけるフラボノイドとアスコルビン酸との相互作用 : アスコルビン酸を合成できないODSラット(日本クレア、6周齢・♂)を正常栄養状態およびアスコルビン酸欠乏状態で飼育し、各臓器の細胞のDNA損傷に対するケルセチンの影響をコメットアッセイにより検討した。アスコルビン酸が欠乏すると酸化的DNA損傷が増加し、アスコルビン酸またケルセチンあお補充すると酸化DNA損傷の誘発は抑制される傾向が見られた。
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