免疫担当細胞であるリンパ球や単球の機能を調節している顆粒球中性プロテアーゼ、特にメダラシンおよびカテプシンG活性が食品成分によってどのように変化しているかを調べることにより、どのような栄養が生体防御能を健全に維持するために良いのかを明らかにするのが本研究の目的である。マウスに種々の濃度のエタノールを飲料水に混ぜて与え、経過を追ってマウス顆粒球中のメダラシンおよびカテプシンG活性を測定したところ、投与するエタノールの濃度に依存して徐々に顆粒球メダラシン活性が低下した。カテプシンG活性には著明な変動は見られなかった。また末梢血中の顆粒球数もエタノールの濃度に依存して減少した。従って末梢血あたりのメダラシン活性はエタノールの濃度依存的に著明に減少した。この結果から飲酒による免疫能の低下の一因にアルコールによる顆粒球中性プロテアーゼ、特にメダラシン活性の低下が考えられる。マウスに腸管出血性大腸菌O157の毒素であるStx2を腹腔内に投与すると骨髄幹細胞レベルに作用し、著明な顆粒球増多症が引き起こされ、溶血性尿毒症症候群の一因となる可能性がわかった。
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