食品成分の免疫能に対する影響を明らかにするため、生体防御能の調節因子としての働きをしていると考えられる顆粒球中性プロテアーゼに対する食品成分および運動の影響を調べるとともに、顆粒球中性プロテアーゼそのものの生体防御能調節因子としての働きをさらに明らかにするため、以下の実験を行い、以下の成果を得た。マウスに緑茶の粉末を種々の割合に粉末飼料に混ぜ(0.15%-3%)2-4週間飼育して、骨髄よりパーコールを用いる遠心分離法により成熟顆粒球を分離し、生体防御能の調節因子である顆粒球中性プロテアーゼ(カテプシンGおよびメダラシン)活性を測定すると両プロテアーゼ活性ともに低下する傾向があった。しかし、緑茶から煮沸により抽出した成分をマウス粉末飼料に添加した飼料を投与すると両プロテアーゼ活性ともに増大する傾向が見られた。従って、緑茶中のある種の成分が顆粒球中性プロテアーゼ活性を増大させ、ある種の成分が低下させるものと思われる。さらに緑茶中の各種成分の影響を調べる予定である。メダラシンに類似した顆粒球中性プロテアーゼであるproteinase-3を精製し、免疫調節因子としての可能性を調べるため、温和な条件(活性を保ったまま得られる)でヒト骨髄より精製を試みていたが、微量のproteinase-3の精製に成功した。酸性(pH2.0)で抽出し、濃縮後、ゲル濾過、陰イオン交換クロマト、疎水クロマトで精製したが、さらに抽出.精製法を改良する予定である。
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