糖尿病では血糖値の上昇に伴いタンパク質の糖化反応が進行し、同時に過酸化反応も促進されることが知られている。これらの反応は血管障害、腎障害、白内障などの合併症と深く関連していることが推測されている。従って、抗駿化剤の投与により糖尿病合併症を抑制できる可能性があると考えられる。そこで、今回は抗酸化剤として市販されているプロアントシアニジン高含有ブドウ種子抽出物を用い、糖尿病ラットにおける合併症の抑制効果について検討した。 Wistar系ラット(雄、10週齢、体重約270g)にSTZ(50mg/kg体重)を投与して糖尿病ラットを作成した。糖尿病ラット20匹を(1)対照群、(2)トコフェロール投与群(T群、飼料に対して500ppm)、(3)プロアントシアニジン群(PA群、飼料に対して0.5%)に分け、約4ケ月間飼育した。その間、ラットの白内障の進行状態を観察し、ラット解剖後、血糖値、糖化ヘモグロビン、過酸化脂質(TBA法)を測定した。以上の実験の結果から次のことが明らかとなった:(1)血糖値においては対照群と比べて、T群およびPA群は低値を示し、特にPA群は有意に低下した。(2)糖化ヘモグロビンA_<1c>についても対照群と比べてPA群の方が有意に低値を示した。(3)血清中の過酸化脂質量も対照群と比べてT群およびPA群の方が低い傾向にあった。(4)白内障もTまたはPAにより抑制されたが、TよりもPAの方が有効であった。
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