研究課題/領域番号 |
10680152
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
江崎 秀男 椙山女学園大学, 生活科学部, 助教授 (90097642)
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研究分担者 |
大澤 俊彦 名古屋大学, 農学部, 教授 (00115536)
川岸 舜朗 椙山女学園大学, 生活科学部, 教授 (50023445)
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キーワード | 抗酸化物質 / 8-ヒドロキシダイゼイン / 8-ヒドロキシゲニステイン / 6-ヒドロキシダイゼイン / 大豆発酵食品 / 味噌 / 醤油 / 麹 |
研究概要 |
昨年度の研究において、味噌玉麹より強い抗酸化性を示す8-ヒドロキシダイゼイン(8-OHD)、8-ヒドロキシゲニステイン(8-OHG)および6-ヒドロキシダイゼイン(6-OHD)を単離・同定した。また、これらのオルトジヒドロキシイソフラボン(ODI)は、試作豆味噌において、熟成を終えた後も製品中に十分残存することを明らかにした。本年度の研究においては、先ず各醸造メーカーより種々の味噌玉麹および醤油麹を入手してODI量を測定した。いずれの麹においてもメーカーによってその含有量に差異は認められたが、ODIが存在した。しかし、製麹工程における大豆の配合比率が極度に低い白醤油用麹ではその含有量は極めて少なく、定量不可能なものも存在した。また、発酵・熟成期間の異なる豆味噌および醤油を醸造メーカーより入手し、これらのODIを含めたイソフラボン含量、抗酸化力および種々の酵素活性の変動を調べた。いずれの麹においても、発酵日数の経過とともに原料大豆中のダイジンおよびゲニスチンは、麹菌の生産するβ-グルコシダーゼによりダイゼインおよびゲニステインを生成した。更にこの製麹工程において、同時に生産されたイソフラボン水酸化酵素により8-OHDおよび8-OHGが生成した。麹仕込み後のODI含量は、豆味噌および醤油の熟成期間においても減少することはなかった。そして、熟成とともにその抗酸化力は増強した。8-OHDおよび8-OHGは生体膜モデルとしてのリポソームを用いた試験法で、ダイゼインおよびゲニステインより有意に強い抗酸化性を示した。8-OHGはヒト白血病細胞に対して、ゲニステインとともにアポトーシスを誘導した。また、これらのODIは通常の調理条件下で加熱しても、また数カ月保蔵しても分解しなかった。ODIを含む大豆麹は、原料大豆より高い脂質安定性を示した。また、この麹のもつ抗酸化性はクッキー中においても十分に発揮された。
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