地元の農産物を地元の人々が消費するという動きは、学校給食においても見られる。前年度は地元産食材料の利用状況について、北海道の学校給食センターを対象にアンケート調査を行い、その現状や問題点を確認した。 今年度は地元産食材料を取り入れている大規模及び中規模の学校給食センターにおいて、それを可能とする要因を実態調査により明らかにした。 食数が1万数千食という超大規模のセンターにおいて地元産食材料の利用が可能となった大きな要因として、自治体関係者や生産者との協力関係があったことが挙げられる。市が「農業理解促進対策事業」という地元の有機低農薬野菜生産に伴うコスト高部分を補填する政策を打ち出し、センターで使用する有機低農薬野菜の定着を促進させた。その結果、1997年現在4割を超える地元産の、しかも有機低農薬野菜の利用となっている。また、「ふるさと給食週間」の実施や生産者との交流給食会などの取り組みを通して、児童・生徒・教員・父母たちに、地元産食材料の使用について積極的に紹介し、地域農業についての関心と理解が深まった。 2千食の中規模のセンターにおいては、自治体からの直接的な支援はないが、市内の生産団体・小売業者の協力により地元産食材料の利用は8割となっている。もち米の産地という地域農業の特徴が学校給食の献立にも反映され、月に一度は赤飯やもち米を使ったお菓子が出されている。地元産の食材料が調達できない時期には、収穫期のとうもろこしをペースト状にして利用するなどの工夫や、国産のものを追求するなど輸入農作物や冷凍加工食品に頼らない内容となっている。 学校給食の運営形態としてセンター方式よりも自校方式の優位点が論じられることが多いが、センター方式にあっても、地元産の食材料の利用は充分に可能であることが明らかになった。
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