高齢社会を迎えて、骨粗鬆症の原因ともなるカルシウム摂取量の不足が問題視されている。我が国では、古来より小魚を骨ごと食べる調理が伝承されており、魚骨は重要なカルシウムの供給源として有効であると考えられる。そこで、日本人に不足しているカルシウム源として魚骨に注目し、魚骨からカルシウムを摂取することについて検討した。 我が国で一般的に行われている魚骨を利用した調理としては、加熱調理(甘露煮、鯉こくなど)と酢漬調理(マリネ、南蛮漬など)がある。そこでこれら調理中に起こる魚骨の物性変化とその原因をなす成分変化との関係を明らかにするために本研究を実施した。実験はマアジの骨を使用し、水溶液中で加熱処理または酢酸溶液に浸漬処理したときの魚骨の物性と成分の変化について検討した。 1.マアジの骨をさまざまな溶液(水、酢酸溶液、食酢溶液、茶煎汁)中で常圧および加圧加熱した。 (1)魚骨の重量、水分、椎体の直径を測定し、加熱時間によるこれらの変化を検討した。 (2)クリープメータを用いて破断強度解析を行い、加熱時間による魚骨の破断荷重、破断エネルギーを測定した。 (3)魚骨および加熱した溶液の無機成分をICP発光分析器により測定した。 2.魚骨を酢酸溶液中で加熱または浸漬したときの骨アパタイトの結晶性の変化を調べ比較検討した。 3.魚骨を酢酸溶液中で加熱または浸潰したときの魚骨の物性と成分の変化を現在比較検討中である。 4.本実験は、上記の通り行った。その結果については、一部報告済みであり、現在解析中の結果については、各関連学会で報告予定である。
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