研究課題
本研究の目的は、新開発小麦『モチ性小麦』に関する食品への応用研究をすすめ、あわせて"モチの食文化"における同小麦の位置づけ・発展性を検討することにある。本年度は、(1)胚乳澱粉改変小麦の基礎研究と全粒粉モチ小麦による応用食品開発、(2)昨年作成した「モチ性および小麦の食べ物データベース」の活用と食文化発展の模索である。(1)について、新たに全粒粉としてのモチ小麦の用途について検討した。また新規に開発された高アミロースタイプの小麦と普通市販小麦およびモチ性小麦の物性の比較検討を行った。前者について「健康日本21」においても食からの健康づくりは重要視され、食物繊維の摂取量増加も生活習慣病予防策のひとつと考えられている。小麦ふすまには食物繊維が多量に含まれるため、全粒粉を用いた麺類、洋菓子類の応用開発実験を試みた。また同製品の一般成分分析を行うとともに、澱粉の老化(再結晶化)をX線回折計とDSCで観察した。詳細は成果報告書にまとめて記述する。後者の新開発高アミロースタイプの胚乳澱粉中のアミロース含量は35%程度で、結晶性は極端に落ちていた。これら小麦胚乳澱粉改変の研究は小麦粉改質の面から重要である。(2)について、近年食の国際化の進展はめざましく、一方では国内自給率の向上と健康づくりのために食による地域振興が話題となっている。モチの食文化圏は伝統的食性であり、廃ることはなく、モチ小麦の文化的発展も当然望めるわけで、地域振興策の一環として注目されている地産地消活動を通して食文化の定着を試行した。モチ小麦が「あけぼのもち」として品種登録されたのを機会に某地域で栽培して食品産業関係者に試料提供し、食文化の定着・発展を具体化している。これに関して「モチ性および小麦の食べ物データベース」に収載された過去の叡智を参考に作業をすすめた。
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