イカ、タコ、エビを摂取したマウスにおいて血清および肝臓コレステロール濃度の低下が観察された。その作用は、魚介類に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)により一部発揮されているとみなされた。しかし、これら魚介類に含まれるn-3系PUFA含量は低いので、脂質濃度の低下がn-3系PUFAのみに起因するとは考えられない。イカでは、その資質以外の成分(主にたん白質成分)がカゼインに比べてラット肝臓の脂肪合成酵素の活性を抑制することが観察された。また、タコたん白質摂取ラットでもカゼイン摂取ラットより肝臓脂質濃度が低下した。エビたん白質はカゼインに比べて高コレステロール食で肝臓コレステロール濃度を有意に低下させ、大豆たん白質と同じレベルであった。血清と肝臓トリグリセリド濃度も低下の傾向にあり、カゼインと大豆たん白質の間の値を示したことから、エビたん白質も脂質改善作用のある可能性が示唆された。 カキを摂取したラットでは低コレステロール(0.1%)食および高コレステロール(1%)食で、血清コレステロールおよびトリグリセリド濃度が低下し、大豆たん白質と同レベルであった。特に、1%コレステロール食では血清コレステロール濃度の著しい低下と5HDL-コレステロールの割合の増加が観察された。 このように数種の魚介類に脂質改善作用が認められており、その作用は脂質成分(主にn-3系PUFA)以外にたん白質成分によっても発揮されていることが明らかとなった。今後、これら魚介類のたん白質成分の消化産物の脂質濃度に及ぼす影響ついて検討する予定である。
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