魚類以外の魚介類(いか、たこ、えび、かき、なまこ)の脂質代謝に及ぼす影響に関する研究を行い、次のような結果を得た。 1.いかは脂質低下作用を有し、その作用はいかの脂質成分のみならず脂質以外の成分(主にたん白質)によっても引き起こされることが明らかとなった。いかをはじめとする魚介類は熱をかけた後に食することが多いことから熱によるたん白質変性の脂質代謝への影響を検討したが、いかの熱変性は脂質代謝に影響しないことを観察した。 2.たこは脂質低下作用を有し、その作用はたこの脂質成分のみならず脂質以外の成分(主にたん白質)によっても引き起こされることが明らかとなった。 3.えびは脂質低下作用を有し、その作用はえびの脂質成分のみならず脂質以外の成分(主にたん白質)によっても引き起こされることが明らかとなった。えびの脂質以外の成分の脂質低下作用は大豆たん白質のそれよりも弱いものであった。 4.かきは脂質低下作用を有し、その作用はかきの脂質成分のみならず脂質以外の成分(主にたん白質)によっても引き起こされることが明らかとなった。かきの脂質以外の成分の脂質低下作用は大豆たん白質のそれに匹敵するものであった。 5.なまこの脂肪酸組成やステロール組成は他の魚介類と異なっており、現在脂質代謝への影響を検討している。 多くの魚介類で脂質代謝改善作用が認められ、その作用機序や作用の強さなどがそれぞれ違っており、この点を今後解明することで更に魚介類の有効利用が図れるものと期待される。
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