研究概要 |
本研究の目的は、日常の食生活において多量に摂取している茶ポリフェノールの生体内における抗酸化性評価を、X線照射により酸化損傷を誘発する実験系において検討することである。本年は、生体成分中の茶ポリフェノールの分析方法の条件設定を行った。また、ラットにX線を全身照射し、骨髄や肝臓のDNAや脂質の酸化損傷に対する抗酸化ビタミンの投与効果を検討した。また、マウスを用い、X線全身照射後の骨髄DNA損傷に対する茶ポリフェノールの投与効果を検討した。その結果、骨髄の実験系では、茶ポリフェノールやビタミンC,EはX線照射によるDNAや脂質の酸化損傷の防御効果をほとんど持たなかった。この理由として、1)X線照射後の骨髄では酸化損傷が極めて著しいこと、2)骨髄には投与した抗酸化物質が十分取り込まれないこと、が考えられた。一方、X線照射後の血漿や肝臓では、酸化促進因子である鉄濃度が明らかに増加した。現在、これらの鉄濃度の増加に対する茶ポリフェノールの効果を検討している。
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