研究課題/領域番号 |
10680173
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
広岡 公夫 富山大学, 理学部, 教授 (30029467)
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研究分担者 |
中島 正志 福井大学, 教育学部, 教授 (70093440)
時枝 克安 島根大学, 総合理工学部, 教授 (90032599)
前川 要 富山大学, 人文学部, 助教授 (70229285)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 助教授 (30134993)
宇野 隆夫 富山大学, 人文学部, 教授 (70115799)
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キーワード | 考古地磁気 / 地磁気永年変化 / 熱残留磁化 / 交流消磁 / 先史時代 / 縄文時代 / 弥生時代 / 古代 |
研究概要 |
考古地磁気年代推定法は地磁気永年変化の様子が分かっている過去2,000年間についてのみ有効であるため、先史時代の測定の依頼は殆どない。そこで、本年度は、古代・弥生時代・縄文時代について、積極的に各地の遺跡で新たに試料を採取させてもらうことを依頼し、青森市の三内丸山遺跡、新町野遺跡、野木遺跡や栃木県氏家町の四斗蒔遺跡、富山県大山町の花切遺跡、京都府長岡京市の雲宮遺跡から測定試料を得ることができた。このうち、青森市の野木遺跡では、縄文の遺構は工事で消滅していたため、平安時代の住居址と土師器焼成窯から試料を得た。青森は西南日本や北陸とは地域的に大きく離れているので、地磁気の地域差も考慮に入れなくてはならない。その検証のためには、これら平安時代の試料は重要な役割を果たすと思われる。また、雲宮遺跡は弥生前期の焼土遺構で、考古地磁気データが皆無に等しい時代の試料を得ることが出来たことは重要である。現在、これらの試料は鋭意測定中である。また、富山市の北代遺跡、金沢市の北塚遺跡、三重県松阪市の鴻ノ木遺跡からも縄文期の考古地磁気データを得ている。 上記のような新たな試料の採集と併行して、既存の試料の再測定も行なった。須恵器窯の出現以前の遺構は炉跡や焼土坑で、安定な熱残留磁化を獲得するには不十分な加熱である場合が多い。しかし、このような焼土も丁寧に交流消磁をすれば、比較的安定なまとまりのよい残留磁化を選り出せることが、数年前の研究で判明した。それ以前は焼土試料の消磁を行なわず、自然残留磁化の測定のみにとどめていた。今回はこれらの手持ちの試料の再測定を行ない、交流消磁を行なって、より信頼性のある測定データを得ることに努めた。その結果、富山県朝日町の境A遺跡の炉跡について、良好なデータを得た。
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