研究概要 |
本研究では,現行の国内外の小・中学校の理科教科書を調査対象として,児童・生徒の思考力を育成するためにどんな内容が盛り込まれ,どんなことが記述され,そしてどんな配慮がなされているのかを調査し,その知見をもとに児童・生徒の思考力を育成するための手立てを提言することを目的とし、平成10年度は次の研究実績をあげた。 1. 国内理科教科書,米国および英国の最近の理科教科書を調査対象として、理科の全領域のうち「物質」を取り巻く世界の記述がなされている箇所を抽出し,「物質」データベースを作成した。 2. その「物質」データベースをもとに、本年度は特に、化学用語・科学用語、科学的探究に関する用語、動詞などの述語、社会に関する用語、応用に関する用語など、用語レベルでの各教科書における使用状況についての分析を行った。 その分析を通して、国内の教科書では、用語・取り扱い内容とも教科書によって大きな差は少ないのに対し、外国の教科書では、教科書によって大きな違いがあることがわかった。 平成11年度は「物質」データベースを用い、これらの分析をさらに進めるとともに、各教科書で取り上げられている記述内容とに関して、(a)自然事象についての単なる事実関係や解説が書かれているのか、(b)自然事象についての事実関係が日常生活や社会での応用とかかわって記述されているのか、(c)自然事象についての事実関係が児童生徒の思考力の育成に密着した形で書かれているのか、等の観点で分析を行う予定にしている。
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