研究概要 |
本研究では,小・中学校の理科において児童・生徒の思考力,特に科学的思考力を育成するための手立てを提言することを目的とし,平成10〜12年度において次のような成果を得た。 1.本研究者らが日本・米国・英国の理科教科書をもとに作成した「物質科学」データベースを使用し,各教科書で実際に扱われている物質科学に関する内容を調べ,教材配列の順序性,学習形式,学習方法などについて比較を行った。その結果,日本の教科書と異なり,それぞれの国および教科書間で大きな違いがあることがわかった。 2.その「物質科学」データベースをもとに、科学の本質、科学的探究に関する事項についても各教科書での取り扱い状況の分析を行い,国別および各教科書での取り扱い方やの違いを明らかにした。これらの事項については米国の2,3の理科教科書が突出してきめ細かく記述されていることがわかった。 3.教科書で取り上げられている記述内容に関して,児童生徒の思考力の育成に最も密着した形で内容が書かれている教科書は,米国の2,3のものであった。次いで英国のもので,日本の教科書が一番貧弱であった。 4.中学3年生と大学2年生の持っている「理科観」や「科学観」の調査を質問紙法を用いて行い,理科学習を通してかれらが身につけている科学的思考力の実態の一側面を明らかにした。その結果に基づき,いくつかの提言すべき事項が明らかになった。 5.中学生の科学的思考力を育成するための教材開発を行い,試行を行った。有効な教材であると判断した。更なる評価については次年度以降引き続き行い,改善を図る予定にしている。
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