1.タイ国の初等・中等教育の教科内容(特に理科)、理科カリキュラムの研究を積んだ。その一環として、昨年度も行ったタイ国生活科教科書の対訳(タイ語・日本語)本に未完であった物理部門以外の理科部門を追加作成した。書籍として公刊するために、タイ教育省と著作権に関する交渉に入った。 2.タイの研究協力者の協力により、拡張教育の制定経過、制度、現状の把握をした。2000年度から拡張教育は、義務教育となり、前期中等学校となるが、その社会的背景と実情を調査した。 3.拡張教育の義務教育化への展望を見通すため、通常の中等教育すなわち、教育省一般教育局傘下の中学校・高等学校での教育の現状をも、特に遠隔教育に焦点をおいて調査・研究した。ここ1〜2年の経済危機により、後期中等教育(いわゆる高校教育)の意義も変わってきており、職業教育を含めた後期中等教育についても、研究し資料収集をした。 4.上にも述べたように、タイでは、経済・教育を含む各種政策が、日本に比べて、極めて迅速に変更されてゆくが、ここ1〜2年の経済危機により、教育政策も大きく変更されたため、それに関する情報の収集が大きな仕事となった。 要約すれば、科学教育は、工業化を目指した技術科学教育の発展を支えるものという目標から、近代化した農業立国を支えるための、農業技術や自然環境のための科学教育へと転換した。そのため、この支援研究も環境教育に重点を移してゆくこととなった。 5.教育実践として、タイ国サトゥーン県教育委員会事務所(日本式で言えば県教育委員会)での2回目の理科教育および環境教育セミナー開催を指導助言し、その指導書(タイ語)を作成した。
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