研究概要 |
1 算数・数学教科における「創造的態度尺度」と「創造性テスト」を開発し,創造性と創造的態度との関係を調べた.小学6年生,中学2年生を対象とした実験では,次のようなことが明らかになった. (1)創造的態度テスト得点と創造性テスト得点の間の相関係数は0.4〜0.6で中程度の相関がある. (2)創造的態度が良好である生徒ほど創造性が高い.その逆は成り立たない. (3)拡散性,流暢性,柔軟性,独創性等の間の相関係数はいずれも0.5〜0.8で強い相関があり,創造性を発揮するには,各創造性因子を兼ねそなえた人格特性が必要である. 算数・数学教科におけるこれらの尺度の開発及び内容は,本研究によって初めて明らかになったことであり,これらの成果に対して,全国数学教育学会から学会賞を受けた. 2 算数・数学学習における創造性の発達を調べるため,小学生,中学生,高校生,大学生約1000人を対象にして創造性テストを実施した.結果については,現在,分析中であるが,数学学習においては,小学生,中学生,高校生,大学生とも年を経ても創造性はほとんど変化しないようである. 3 中学生を対象として,構造的思考力と創造力との関係を分析した結果,それらの間には弱い相関が存在した. 4 日本と韓国のそれぞれにおいて,小学生,中学生を対象として創造性テストを実施し,それらの比較を行った.日本の生徒より韓国の生徒の方が創造性は高いように思われるが,詳細な分析は平成12年度に行う予定である.
|