研究概要 |
1 算数・数学学習における児童・生徒の創造性の発達を調べるため,小学生,中学生,高校生,大学生約1000人を対象にして,数学における創造性テストを作成し実施した。分析の結果,次のことが明らかになった。 (1)小学生では,小学4年生と5年生の間に創造性の発達の段差がみられる。 (2)小学生では,創造性態度は小学4年生が最も活性化しており,高学年になるにつれて減退する傾向がある。 (3)小学生,中学生,高校生,大学生と学年が進行するにつれて,拡散性はしだいに高くなるが,柔軟性・独創性はほとんど変化がなく,きわめて乏しい傾向にある。 (4)高校生は,中学生・大学生に比べると,拡散的思考が乏しい傾向にある。受験のための正解追求型学習が影響を与えている危険性がある。 2 中学1・2年生を対象として,学業成績と創造性能力及び創造性態度との関係を調べた結果,次のことが明らかになった。 (1)学業成績得点と創造性テスト得点,学業成績得点と創造性態度得点の間の相関は,いずれも弱いが,それらの間には因果関係が存在する。 (2)創造性態度得点が高い生徒ほど創造性テスト得点が高く,さらに創造性テスト得点が高い生徒ほど学業成績得点が高い。逆は成り立たない。 (3)構造的思考が活性化している生徒ほど,創造性能力及び創造性態度が良好である。逆は成り立たない。
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