《課題1 疑似酸性雨をつくろう》 学校現場で簡単に行える実験装置(煙や灰の酸性度調べ)を考案し、実際に家庭ゴミから疑似酸性雨を生成した。その結果、(1)紙や枯葉など絹布(pH8.9)以外のすべての試料煙から酸性雨が生じる(2)繊維の種類によって検出されるイオン種やイオン濃度に顕著な違いが認められる(3)植物の灰には生育促進効果がある(例外:イチョウの葉)(4)プラスチックの灰中の陰イオン濃度や酸性度は紙や布・植物に比べてかなり低い(5)プラスチックの灰は自然分解され難いことが分かり、環境教育の教材として十分活用(自由研究、選択理科や総合学習など)できることが分かった。 《課題2・3・4 環境汚染の現状と自然の浄化能》 本調査は、平成2年度からの継続研究である。今回は特に熊大構内の亜硝酸ガス汚染の現状を詳細に調査し、NO2の拡散・蓄積への地形・建物・樹木等の影響を明確にした。また、イ草の大気浄化能、木炭の水質浄化能および汚染指標物質としてのウキクサの活用について検討した結果、教材として十分活用可能であることが分かった。 《課題5土壌の働き》 土壌中の硝化菌の働き(アンモニアイオン→硝酸イオン)を確認する簡単な実験法を考案し、(1)土壌に吸着されやすいアンモニアは硝化菌によって無毒化され栄養源となる(2)硝化菌の量は土壌の種類や植物の生育状況によって異なる(3)硝化菌は熱や酸性度の影響を受けやすいことが分かった。一方、葉(樹木)中のNO2濃度やNO2蒸散量の結果から、「NO2は樹木の生育阻害・立枯れの誘発因子ではない」と思われるデータが得られ、現在検討中である。 《課題6実践授業の構築》 本研究成果をもとに、新しい環境教育カリキュラムの実践・模索中である。
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