生物多様性の保全を目的とした大学レベル学際的、実践的なプログラムを日本の大学にも導入することを最終目的とし、これらのプログラムをすでに実践しており、優れた成果を挙げている米国の大学、高等教育機関の先進事例について調査した。 環境インターンシップについては、米国ボストンおよびボストン大学の生物学部、環境研究コースでの取り組みについて、現地調査を含めて詳細に検討した。その結果、1)環境インターンシップはあくまで、大学教育の一貫として行われていること、2)環境インターンシップは社会の様々のセクターですでに広く受け入れられ、定着していること、3)環境インターンの希望学生の関心、能力、将来の進路希望などに関する詳細なデータをもとに、学生と受け入れ機関の双方の希望条件を満たすため、学内組織および学外の専門機関が存在していること、4)インターン学生、教官(大学)、受け入れ機関の三者にとってよい相乗効果を発揮できるような合意形成が事前にされていることなどが、環境インターンシップ製度が優れた実践教育となりうる要件であることを明らかにした。 武蔵工業大学環境情報学部の学部3年生を対象とし、上記の1)、3)、4)の要件を満たす環境インターンシップのパイロットプログラムを作成し、平成11・12年度の夏期に実施した。その結果に基づき、1)環境インターンの教育的意義、2)学生、大学、受け入れ機関の3者にとっての役割とその意義、3)今後の課題について検討した。 環境復元の学際的、問題解決型プログラムを開発するため、これらの優れたフィールド実習プログラムを実践している国際的教育機関であるThe School for Field Studies(SFS)の取り組みについて調査した。特に、メキシコのウエットランド研究センターについての詳細な現地調査をおこない、その教育方針、教育の構成要素、実践的、学際的、問題解決型のアプローチに基づいたプログラム構成について調査した。また、SFSの現地校の一つである熱帯林研究センター(オーストラリア、ケアンズ)と共同で日本の環境関連の大学生を対象としたフィールド実習、生態復元のプログラムを開発し、そのパイロットプログラムを平成12年に夏期休暇中に実施し、その教育的意義、今後の課題にいて検討した。
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