研究概要 |
1) 環境教育および理科教育へ、ケナフを教材として活用する目的でケナフを,土壌および酸性雨のモデルの一つとして,pHの異なる酸性栽培液を使った水耕栽培を行い、下記のような結果を得た. (1) 土壌におけるケナフの栽培と観察:3種類のケナフ青皮3号,浙江1号,Evereglades 41を播種して,栽培した.茎の色は青皮は緑であったが,浙江とEveregladesは部分的に赤色になった.葉の形はそれぞれ異なり,青皮が深く7裂,浙江は卵型,Evergladesは,浅く5裂した.開花時期は,青皮が最も早く,次に浙江最後がEveregladesであった.成長も茎長,茎重については,Evereglades>浙江>青皮の順であった. (2) 発芽実験:硝酸栽培液pH3.0-6.0における発芽率はケナフ(98%)>セイヨウタンポポ(73%)>タカナ(63%)>ホウレンソウ(アトラス,60%)>ホウレンソウ(西洋大葉,45%)>ホウレンソウ(オータム,18%)で,発芽の段階でも,酸性に非常に強いことが分かった. (3) 水耕栽培と観察:pHの異なる酸性栽培液を使った水耕栽培ではpH4.0が最も成長が大きがった.硝酸溶液の水耕栽培では,pH3.0,4.0,水(pH6.2)において,新しく栽培液を入れてから,水素イオン濃度はそれぞれ約1/4,1/25,1/2に低下した後,5-6日頃からもとの水素イオン濃度に近ずくが,若干高くなった.このことは,根による水素イオンの吸収・放出が行われていることを示す.水耕栽培でも,土壌の場合と同様に,栽培は容易で教材として十分有用である. 2) ケナフの種子の油脂の研究では,青皮3号の種子が脂肪量約19%で,半乾性油であった.脂肪酸組成は,パルミチン酸17%,オレイン酸27%,リノール酸50%,α-リノレン酸0.8%で,リン脂質の含量が高かった.以上の油脂の性質は綿実油に非常に類似し,綿実油と同様な食用油としての利用が考えられる.
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