研究概要 |
1)理科教育および環境教育へ,ケナフの美しい花の色素を教材として活用する目的で,花弁の外側の黄白色色素と内側の赤色色素について検討して,下記の結果を得た。 (1)ケナフ外側黄白色の色素はフラボン系色素で,内側赤色色素はアントシアンとフラボン系色素であることが分かった。(2)色素抽出方法は,水煮沸か,エタノール抽出が抽出後の色の変化が少なく最も良かった。(3)ケナフ内側赤色色素水溶液については,酸性(pH1〜4)では赤〜ピンク,中性(pH7)では青緑,アルカリ性(pH9〜14)では暗視色〜緑〜黄緑〜黄褐色であった。また,ケナフ外側黄色色素水溶液については,酸性度が増すにつれて。薄い黄色になり,アルカリ性が増すにつれて濃い黄色になった。以上のことからケナフ花弁の赤と黄色の色素は,理科教育および環境教育における酸・アルカリの指示薬として使用出来ることが分かった。 2)ケナフを靭皮部と芯部に分け,解繊した繊維を300〜350℃で短時間加熱処理して製造した油吸着材の食廃油吸着能は非常によかった。これはケナフのへミセルロースとセルロースが部分的に熱分解して,その比表面積と官能基が変化したためであろう。 3)ケナフの3品種(Qingpi No.3くMyanmar>,Zhejiang NO.1,Everglades41)の種子油の一般性状を検討した。品種間の著しい差はほとんど認められなった。脂肪量は約20g/100gで、半乾性油であった。脂肪酸組成は綿実油に類似したものであった。また,スチロール組成は約73%がβ-シトステロールで,トコフェロール組成は,約22.3%で他の植物油よりも低く,その組成は生理活性の高いα-Tocが約46%、抗酸化性の強いγ-Tocが約53%で,綿実油と類似した組成であった。油脂量が約20%と比較的高く,収穫量も多いことから食用油としての利用が考えられる。
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