研究概要 |
本研究の目的は,数学で多用される論理的な接続語を中心とした認知的構文について,聴覚障害児と健聴児の場合について比較分析することである.そのために,平成11年度は(3)数学的意味の構成に伴う論理的な接続語に関わる困難性についての理論的検討と(4)数学的意味の構成に伴う論理的な接続語に関わる困難性についての実証的検討を目標としてきた. そのなかで,数学の文脈で使われる論理的な接続語の指示する意味が,日々自然にそれを使ういわゆる日常の文脈で指示する意味とは必ずしも一致しないことが原因となり,数学の文脈で使われる論理接続語を子どもが認知理解することが難しいということがわかってきた.一方で,論理的接続語の使用以前に,その表象である子どもの推論をいかに評価し,指導すべきかという問題の解決が,子どもたちの論理的思考力の育成において必要であり,重要な課題であることが明らかにされた.私たちが取り組むべき次の課題は,「聴覚障害児のコミュニケーション分析に基づく数学的推論能力育成のための指導法の開発」である.
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