三重県下の幼稚園277園に対して、コンピュータ利用の状況と意識について昨年度調査したデータを分析しまとめた。コンピュータの設置率は低く、園児が利用できる機器を設置している園は7園とさらに少ない。明確なねらいや方針をもっていない園では、導入がうまくいかず、またうまくいっていても園児に与える方法や利用するソフトウェアなどを教員が研究していない実態が明らかになった。意識調査では、幼児向けコンピュータ導入には抵抗感のある幼児教育者がおり、その多くがコンピュータに対し偏見や固定観念を持っており、コンピュータをメディアとして利用できる認識がないことが明確となった。情報機器を教育の現場でメディアとして正しく取り扱うことのできる人材の育成を目標とした教職課程の情報教育と現場職員の再教育支援体制が望まれる。 過去4年間に実施した幼稚園におけるマルチメディア遊びに参加した保護者、教員、学生からの意見をまとめた。マルチメディア遊びを実体験した教員は、調査における固定観念から来る意見とは異なり、ねらいや方法を考えたマルチメディア遊びに肯定的であった。 この活動を支える「幼児向けマルチメディア作品制作」をテーマとした幼児教育学科の授業を支援する目的で、授業での作品制作の様子や作品のシナリオ、概要、実習の様子、幼稚園教員や保護者の意見をまとめているWebページに、平成10年度分を追加した。このWebページは、幼児教育関係の方々、学生などの参考資料となるように公開した。また、今年度は、昨年度まで使っていたハイパーカードをやめ、Webページで作品を広く配信できるflashというアニメーション作成支援ソフトをマルチメディアエンジンとした。そのため、学生の参考となるテキストを作成した。今年度の授業の反省をふまえて来年度は改良する予定である。
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