研究概要 |
学習者にやる気を起こさせる工業教育のための自主学習型教育システムの開発を目指す.ゲームソフトにおいて「最終画面をクリアしたい」といった動機から子供から大人までがのめり込んで行く.CAIソフトにおいても,このような魅力的な動機付けが必要であり,このための一つとして実験を取り上げる.本開発では,ネットワークを用いた遠隔操作による実験を考える.従来より制御工学のためのCAIソフトを開発しており,その中では倒立振子のコントローラを個々に設計させ,数値シミュレーションによる検証を行わせている.このような背景から,魅力的な動機付けとして実際に倒立振子を立たせることを考える.本年度は,このような遠隔操作による実験について検討し,実現方法の提案と実験装置の構築を行い,教育システムへの適用可能性について検討した. 学習者が行う実験の流れとして,次の5つを考えた.(1)倒立振子のコントローラを設計する.(2)実験的検証を行うため,コントローラのパラメータをサーバマシンへ転送する.(3)パラメータを使った遠隔操作による制御実験を行う.(4)制御実験の様子を学習者のパソコン画面でモニタする.(5)制御実験の様子から,必要に応じてコントローラの設計を繰り返す.これらを実現する学習システムの開発において,(2)はETP機能,(3)は遠隔操作ソフト,(4)はテレビ会議システムなどの既存のアプリケーションを利用することで,遠隔操作による制御実験が実現できることを,さらに教育システムに適用が可能であることを,実際の実験にて明らかにした. しかしながら,セキュリティの問題や,3つに分かれたソフトがシステムとしての操作性を煩雑する問題が起こった.そこで,Java言語を用いた専用通信プログラムを開発する必要がある.さらに,平成11年度では,人間に頼ることの多い制御実験を自動化すること,マルチユーザに対応することを行う予定である.
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