研究概要 |
これまでに筆者らが開発した自主学習型教育システムの中では,学習者毎に倒立振子のコントローラを設計させ,数値シミュレーションによる検証を行わせている.さらに,ゲームソフトにおける「最終画面をクリアしたい」と同じように魅力的な最終目標を学習者に与える目的から,ネットワークを用いた遠隔操作による倒立振子制御実験を考える.昨年度は,このような遠隔操作による制御実験について検討し,一つの実現方法の提案と実験装置の構築を行った.今年度は,さらに,以下の3点について実施した. 1.専用通信プログラムの開発 昨年度,市販のアプリケーションを利用することで遠隔制御実験が行えることを確認した.しかしながら,複数のアプリケーションを用いる点,それらは必要以上の機能を有する点から,操作が複雑という問題点が残されていた.そこで,学習者の操作しやすいシステムを目指す観点から,遠隔操作に必要な機能のみを有する専用通信プログラムの開発を行った. 2.倒立振子制御プログラムの開発 専用通信プログラムによる遠隔制御実験の実現のために,DOS版倒立振子制御プログラムをWindows上で動作するように移植を行った.また,実用化に向けて倒立振子制御実験の自動化が必要であるため,振り上げ制御のための制御プログラムの開発を行った. 3.遠隔制御実験の実施 前述のプログラムを組み込んだシステムによって,遠隔操作での検証実験が行えることを,実際の学習を想定した実験装置を用いることで確認した. 今回の試作により,魅力的な動機付けのできる自主学習型教育システムが実現でき,実用化に向けての第一歩となった.今後,多くの学習者が利用することを想定したマルチユーザ対応システムの構築が考えられる.
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