研究概要 |
これまでに筆者らが開発した自主学習型教育システムの中では,学習者毎に倒立振子のコントローラを設計させ,数値シミュレーションによる検証を行わせている。さらに,ゲームソフトにおける「最終画面をクリアしたい」と同じように魅力的な最終目標を学習者に与える目的から,ネットワークを用いた遠隔操作による倒立振子制御実験を考える。本研究は以下の4点について実施された。 1.遠隔操作制御実験の手順についての検討 学習者が倒立振子コントローラを設計した後,それを用いた検証実験を行うための流れとして,以下の手順を考察した。"(1)"制御実験用サーバマシンへコントローラパラメータの転送,"(2)"遠隔操作制御実験の開始操作,"(3)"制御実験の様子のモニタの3つである。 2.遠隔操作制御実験のためのプログラム開発 前述の"(1)""(2)"を実現する方法として,学習者の操作しやすいシステムを目指す観点から,遠隔操作に必要な機能のみを有する専用通信プログラムの開発をJava言語を用いて行った。一方,"(3)"は市販のテレビ会議システムを利用することで実現可能となった。 3.倒立振子制御プログラムの開発 実用化に向けて倒立振子制御実験の自動化が必要であるため,振り上げ制御のためのWindows版制御プログラムの開発を行った。 4.遠隔制御実験の実施 前述のプログラムを組み込んだシステムによって,遠隔操作での検証実験が行えることを,実際の学習を想定した実験装置を用いることで確認した。 今回の試作により,魅力的な動機付けのできる自主学習型教育システムが実現でき,実用化に向けての第一歩となった。今後,多くの学習者が利用することを想定したマルチユーザ対応システムの構築が考えられる。
|