研究課題/領域番号 |
10680217
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
横尾 能範 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (60030574)
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研究分担者 |
大月 一弘 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (10185324)
鏑木 誠 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (40093504)
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キーワード | 学校事故 / 事例 / 情報検索 / ファクシミリ / 災害 / 学校保健 / 救急処置 / データベース |
研究概要 |
学校管理下で深刻な災害が発生し児童生徒が傷害を負った時、それがどのような経過を辿るかの予測は困難である。その機に類似事例の経過報告を参照できれば、その後の経過や進展を予測でき、最善な対応だけでなく類似事故の予防にも貢献すると考えられる。そのためにデータベース検索を主軸にして、かつ利用者の情報インフラや情報リテラシーのレベルや、インターネットの公開というイメージを嫌うなどの条件を考慮して、事例を提供した者だけがデータベースを参照できる閉鎖システムにすることで事例と参加者の両方の増加を意図した。 前回の研究(課題番号05808021)では同趣旨のもとに、災害事例文書をキーワード検索できるように、MS-DOS上の不定長文書からの文字列検索を可能にした独自の検索エンジンを開発し、それと全国から集めた事例データ271件をセットにしたフロッピー媒体を全国に配布した。 しかし、データの一元化や最新情報の更新に問題があったので、この度の研究では、ファクシミリ端末による情報検索手法により先の問題を解決するために、次の作業を行なった。 (1)前回に収集した271件の災害事例文書を、通信ソフトの関係でParadoxの形式に移植した。(2)全国の養護教諭の内、情報技術に関心があり、また筆者らと面識のあるもの2136人に事例提供とグループへの参加を呼びかけた。(3)上記データベースを蓄えるWindowsNTパソコンに対してCTIボードを組み込んだ。(4)Delphi言語により、NTT公衆電話回線を通じて、相手FAX機からのトーン信号を数字コード化し、それによるデータベース操作可能にした。(5)情報検索結果のファイルをG3形式に型変換し、相手に送出可能にするプログラムを作成した。 上記システムを全国の30名に呼びかけて、ファクシミリによる情報検索のテストを行ない、結果を専門誌「健」(1999.8月号)に紹介した。その後、ユーザーインターフェースを改善し、また回線の混雑を解消するために2回線同時利用にも対応できるシステムに拡大したが、新たな事例提供者は予想を遥かに下回わった。すなわち、前回に約1000人に呼びかけて300件近く集まったが、今回は、2136人に対して約80件の応募が有ったに過ぎない結果となった。技術の進化とは逆に災害事例という陰の情報を表に出さない、或いは出せないという、社会的条件が、ますます厳しくなっている様子が窺えた。
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