研究概要 |
異年齢チュータリングにおける学習者の質問とチュータの助言の分析を基に、自己調整スキルの発達をモデル化した。 自己調整スキルの一種であるモニタリング、およびコントロールを(1)、(2)のように記述する。 モニタリング monitoring(Agent, Target, Level) (1) コントロール control(Agent, Target, Level) (2) ある学習者(Agent)が自分自身あるいは他者の認知状態(Target)をあるレベル(Level)でモニタリング、あるいは、コントロールすることを表す。"Agent"はモニタリングやコントロールする主体であり、"Target"は"Agent"がモニタリング、コントロールする対象である。"Agent"や"Target"の値は、"T"(チュータ)か"L"(学習者)をとる。"Level"はモニタリング、コントロールのレベルである。 質問は、Agentが自己の認知活動(To do)をOtherに発話することである(3)。チュータたちの助言は、彼ら(Agent)が学習者(Others)に望む認知活動(To do)を言語化したものである(4)とモデル化できる 質問 tell(Agent, Others, To do) (3) 応答 wantl(Agent, Others, To do) (4) このモデルに基づくと、チュータ達の助言による学習者の質問の変容は以下のように記述できる。 tell(L, T, monitoring(L, L, KNOW-ABOUT)) (7) <- tell(L, T, monitoring(L, L, KNOW-ABOUT)) (5) & want(T, L, control(T, L, KNOW-ABOUT)) (6) & control(L, L., KNOW-ABOUT) (8) 学習者達の質問は、理解できない概念への気づきであり、"Level"は"KNOW-ABOUT"となる(5)。それに対する助言は、学習者達に"KNOW-ABOUT"レベルのコントロール活動を要求している(6)。学習者達はこの助言を流用する(8)。この流用が学習者達の知識状態を変え、彼らの認知状態のモニタリング結果も変容する(7)。
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