本研究の成果概要は下記のとおりである。 (1)朝日大学で利用可能なISDN方式のテレビ会議システムを用いて、幾つかの遠隔教育の試行実験を行い、フィンレイ、秋丸、矢守の各種の論文に発表した。これらの研究により、大学院教育における遠隔教育の費用対効用を向上できる利用の可能性を検証した。 (2)遠隔教育の設計と研究のための理論的モデルを考案した。このモデルにより、ユーザの人間的要素と通信システムの要素を明確にモデル化することができる。このモデルは、目的指向言語UML(Unified Modeling Language)を用いて開発中で、"最適な"設計を見出すために遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithms)を使用する。現在、この理論的モデルは設計およびプログラミング段階であり、本年(H12)後期にならないと詳細なテストが期待できない。しかし、この研究は新規で有望なものである。遺伝的アルゴリズムに必要な"フィットネス"関数として、秋丸、矢守、フィンレイの報告(1999)がプロトタイプとして使用されるであろう。報告者らは、ユーザのパラメータを通信システムのパラメータに関係づけることができる、幾つかのフィットネス関数を与えている。 (3)遠隔教育用のテレビ会議サブシステムのへのATM(Asynchronous Transfer Technology)の適用可能性に関連する研究が、秋丸、フィンレイ、矢守(1999.2)で行われた。 (4)ウェブベースのストリーミング形およびダウンロード形3次元グラフィックスについて検討した。この分野の研究は現在進行中であり、最初の成果として強力な3次元グラフィックス言語とレンダリングエンジンの必要性を示した。
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