出生時より聴覚に障害を有する者が音声によるコミュニケーション方法を獲得する発音学習に関し多くの発音学習指導者からの聞き取り調査及び発音学習に関する書物等を調べた結果次のようなことがわかった。まず母音単音の発音を学習する。ある程度母音単音の発音が学習されると複数個の母音で構成される語による連続母音の発音を学習する。次に子音を含む単音節と単語の発音学習を組み合わせ行なう。発音評価は音節明瞭度試験で行われている。母音の学習度を高めると発音音声の品質が飛躍的に改善されるだけで無く、また子音の学習をよりスムーズにする。 そこで筑波技術短期大学の学生40名それぞれが日本語100音節を発音した音声をビデオテープに集録した。その音声のみを5人で受聴試験を行ない、その試験結果を今回購入したパーソナルコンピュータに格納した。そしてそれら受聴試験結果より学生40名それぞれの母音の明瞭度及び単音節明瞭度を求めた。現在母音の明瞭度と単音節明瞭度の関係を分析検討している。 また今回購入したパーソナルコンピュータ及び音声分析ソフト等により音声分析システムを構築した。これを用いてビデオテープに収められた音声データの母音部の分析を先ずは行なうことにした。母音を良く特徴付ける第一及び第二ホルマント周波数の抽出を行ない、これまで15名の分析結果がパーソナルコンピュータに収められている。 今後母音部の分析を終わらせ、そして第一及び第二ホルマント周波数をパラメータとしたときの各母音の空間距離を求める。これとこれまでに選られている母音の明瞭度とを比較対比して母音の音声特徴量であるホルマント周波数を利用した発音学習度の数値化方法を検討していく。
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