本研究では、平成10年度に学級情報登録・検索データベースの構築を行い、11年度ではそれらを活用した授業を実施した。本年度は、総合的な観点から学級間国際交流実施に関する調査研究を行い、実施上の問題点を明らかにするとともに、方向性を得ることができた。 学級間国際交流を支援するために、教師や学習者にとって何が交流を促進したり阻害したりしているのかについて知ることは重要である。そのため、教師や児童に対して質問紙による調査を行い、分析し解釈を行った。分析には共分散構造分析の手法を用いた。その結果、多くの教師は、学級間国際交流に興味を持っており、自らも実施したいと考えている一方で、交流を開始するには不安も感じていることがわかった。不安の原因として、インターネットやパソコンの技能や語学などのスキルもさることながら、学習の枠組みが示されていないことも重要である。一方、児童は交流に強い関心を示していた。その要因としては、インターネットやパソコンなどに対する興味によることもあるが、交流そのものが関心の対象になっていること、また、対人関係にとって重要な社会的なスキルも交流の促進に関連があることが明らかになった。 教師の不安要因の内容を探るためにインタビュー調査を行った。その結果、学習の枠組みに関する不安の原因は、学級間国際交流に関して、自由に改変できるカリキュラム(定食カリキュラム)が豊富に準備されていないことが大きな要因となっていることがわかった。このカリキュラムをもとに自分なりの授業をデザインできる「アラカルト」が大切であり、実践者たちもそれを望んでいることが明らかになった。
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