学級間国際交流を支援するためには、どのような問題が交流の継続を阻害しているのかを明らかにすることがきわめて重要である。本研究を通じて、テンプレートとなる「定食」カリキュラムの存在が教師にとってきわめて重要であることがわかった。 初年度には、学級情報登録・検索データベースを構築した。本データベースは、学級間国際交流をスタートする際に交流パートナーを見つけられない教師-これは特別のコネクションを持たない学級では一般的な反応であるが-を支援するとともに、双方の教師が交流にかける思いや交流目的などをお互いに交流しておくことを目的とした。平成11年度、12年度には、このデータベースを活用した授業と調査を高知と西宮の小学校で実施した。交流相手は米国ワシントン州とハワイ州の小学校であった。第1の調査は、子どもたちの感じている交流意欲についてであり、第2は、教師が学級間国際交流を開始する際の問題点、第3に、学級間国際交流を継続的に実施している教師に対するインタビュー調査の分析である。これらの調査の結果、次のようなことが明らかになった。 ○子どもたちは学級間国際交流に意欲づけられること。社会的スキルが影響していること。 ○教師の多くは自学級での学級間国際交流の実施に意欲を持っていること。 ○交流の開始にあたって教師は、パソコンや語学など自分自身のスキルに不安を感じていること。 ○教師の交流不安の大きな要素として、大枠のカリキュラムが提示されていないことが大きい。 教師にとって、学級間国際交流に関して自由に改変できるカリキュラム(定食カリキュラム)が豊富に準備されていないことが大きな要因となっていることがわかった。このカリキュラムをもとに自分なりの授業をデザインできる「アラカルト」が大切であることが明らかになった。
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