研究概要 |
2年計画で,大学入試センター試験等,障害受験生の学習到達度を測定するため適応型CBT(Computer-BasedTesting)を研究開発する。適応型CBTは従来の試験の1/2ないし2/3の短時間に効率よく測定可能であるため,現在の試験時間延長措置に伴う障害受験生に対する過度の負担をどの程度軽減できるかを検討する。 初年度の平成10年度はCBTの障害受験生用ユーザ・インタフェースを開発した。点字受験の視覚障害受験生用にはコンピュータ制御で点字80文字1行を表示できる点字ピン・ディスプレイを導入し,点字問題の表示と解答の入力システムを開発した。重度の筆記障害を有する肢体不自由受験生用には液晶タブレットを導入し,問題を液晶画面に提示するとともに電子ペンで画面をタッチするだけで簡単に解答を入力できるシステムを開発した。また,弱視受験生や聴覚障害受験生等,その他の受験生用にはペン・コンピュータを使用して,従来から研究してきたCBTを使用する。本CBTは,紙をコンピュータ画面に,鉛筆を電子ペンにそのまま置き換えた形のシステムである。操作感覚は,センター試験等,マークシ一ト解答方式の紙と鉛筆の試験とほぼ同様である。 CBTに問題を出題する項目プールを構築するため,本年は数学のテストレット型の問題を作成した。大学入試センターには難易度と信頼性が測定された過去20年間にわたる問題が蓄積されている,このため,過去の問題冊子及び点字問題冊子をイメージ・スキャナで読み込み文字認識するソフトウェアを導入し,コンピュータに読み込む.大問をできるかぎり小問に分解し,一つの問題に複数の項目(設問)を含むテストレットと呼ばれる問題を作成し蓄積した.現在,項目応答理論に基づきテストレット型の問題の項目パラメータの推定を行っている。
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