障害を有する受験生の学習到達度等を従来の鉛筆のテストの1/2ないし、2/3の短時間に効率よく測定可能な適応型CBT(Computer-Based Test)を試作し、大学入試センター試験への導入の可能性を研究する。障害受験生に対する公正な試験時間の定量的な推定法に関する筆者の研究の結果、現在のセンター試験の1.3ないし、1.5倍の試験時間延長率は1.5ないし2.5倍に改善する必要性が示唆された。しかし、二日にもわたるセンター試験の試験時間をさらに延長することは障害受験者の体力的にも試験の実施上も困難であるため、短時間に効率よく測定可能な適応型CBTを開発する。 このため、2年計画で障害受験者用CBTのユーザ・インターフェースを開発した。重度の視覚障害受験生には問題は通常の点字冊子で出題し、設問と選択肢は点字ピン・ディスプレイ上に表示し、解答は選択肢の上に位置するマイクロスイッチで入力する。その他の受験生には液晶タブレット上に問題を出題し、電子マークシートをタッチして解答してもらう。特に、肢体不自由受験生には大型の電子マークシートで解答してもらう。また、点字や通常の文字を読むのが苦手な視覚障害や学習障害受験生にはデジタル音声で問題を出題する。また、CBTに問題を出題する項目プールを構築した。大学入試センターには難易度と信頼性が測定された過去20年間にわたる問題が蓄積されているため、一つの問題に一つまたは複数の項目(設問)を含むテストレット型の問題を作成し、項目応答理論を適用して項目パラメータを推定し、数学と英語の25問ずつを蓄積した。 この適応型CBTの評価実験は今後の課題とする。
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