研究は二つの部分に分かれている。第一は聴覚障害児に対して、第二は成人の中途失聴者・難聴者を対象にしている。 (1) 難聴通級指導教室に通級している聴覚障害児20名を対象に、「補聴器の聞こえ」についての主観的評価を、アンケート用紙を作成して実施した。アンケート用紙の内容は補聴器の装用状態について尋ねる項目と、補聴器の聞こえについて尋ねる項目に分かれる。前者については4項目も受けた。後者は内容によってさらに、雑音の影響、コミュニケーションのしやすさ、残響の影響、それに環境音の聴取の4項目に分類される。各々4つの質問項目から構成され、合計16項目から構成されていた。アンケート調査を実施し、各難聴児に対して補聴器の聞こえに対する自己評価のプロフィールを作成した。その結果、環境音や聴取やコミュニケーションのしやすさについては、補聴器からの聞こえに比較的満足している回答が得られた。しかし雑音や残響の影響については個人差が見られ、全般的に満足度は低い結果が得られた。 (2) 次に成人の中途失聴者・難聴者25名に対して、同様の内容で行った結果について述べる。補聴器の装用状態に関する質問は7項目、補聴器の聞こえについて尋ねる項目は24項目設けた。回収した結果を総合すると、難聴児と同様、環境音や聴取やコミュニケーションのしやすさについては、雑音や残響の影響に比較して、補聴器の聞こえについて比較的満足している結果が得られた。 今後はさらにデータ数を増やしていきながら、補聴器の聞こえについて満足から比較的満足している難聴児や難聴者のプロフィールを分析し、基準値を作っていく予定である。
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