研究概要 |
平成11年度では、以下の6点で研究を推進させた。1.教育実習生対象に児童生徒認知調査を実施して内容を集積・分類し、分類基準の内容妥当性を検討する。2.初任教員を含めた現職教員対象に児童生徒認知調査を実施し、1.と同様に集積する。3.教育実習生の2実習間の認知スタイルの変化と実習効果の分析を試みる。4.現職教員の児童生徒認知情報に関し、子どもを条件付けた認知変動の分析方法を整備する。5.フィードバック方法を整備して面接の構造化をすすめる。6.研究成果を発表する。 1.では、平成10年度に引続いて調査を継続し、実習生の内省を促すフィードバックを重ね、認知枠組の内容的妥当性を確認した。2.では、教職1〜3年目教員に同一学級での追跡調査を継続し、教師へのフィードバック記録と共に情報を集積した。加えて、初任教員の認知変容について、教育心理学会第41回総会(兵庫教育大学)で事例報告をした。本年度までで、経験3年以内の初任教員の同一学級での追跡情報としてのべ14学級分を集積した。3.では、教師内地位指数の観点から2実習間の認知変化を縦断的に検討した。その結果、全体で上位の力量の方向への変化の傾向を見、これを促進させる上で実習間の内省作業の意義を指摘した。また、これを公刊した(松井,2000)。4.では、経験7年から25年の教師20人に調査を実施した。このうち、5人は平成11年度1年間の追跡調査とし、初任教員と同様の分析システムを参照して分析手順を整備した。5.では、フィードバック指針を言語化してその一部を公開した(松井,印刷中)。また、郵送版の開発に応じて書面による方法の書式整備をすすめた。そして15人の現職教員に試験的に運用し、この有用性を検討した。6.では前述のように、日本教育心理学会第41回総会,松井(2000),松井(印刷中)でそれぞれの成果を発表した。
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