平成10年度に行ったアメリカのフィットネス教育についての基礎的検討を補充し、具体的なプログラムを検討した結果、以下のことが明らかになった。 1.1980年代以降、国民のフィットネスに対する学校体育の役割が強く認識されるようになり、教科体育ではフィットネス目標が重視される傾向にある。1995年にNASPEにより作成された体育基準では、フィットネスに関わる達成項目にかなりの力点が置かれている。さらに、伝統的な教育目標である技能、認識、身体、情緒、社会的発達に加えて、日常的な身体活動そのものが体育の主要な目標として認識されている。 2.代表的な研究者達はフィットネスの重要性を指摘し、その必要性や社会変化に対する認識の変化によってフィットネスヘの新しい責任が生じたことを示唆している。さらに、フィットネスプログラムがフィットネス向上を目指すトレーニングから、生涯にわたって自立した身体活動実践を可能にする態度や基礎知識などの必要条件を整えることへと強調点が変化していることを示唆している。 3.新しいフィットネス教育プログラムを過去のものと比較すると、スポーツパフォーマンス志向から健康志向へ、短期的なフィットネスレベルの向上から生涯にわたる自立的な身体活動実践へという変化が読みとれる。 4.新しいフィットネス教育プログラムとして、(1)「フィットネス フォア ライフ」などの中・高校生を対象としたフィットネスの概念学習、(2)「SPARK」や「CATCH」など知識学習と運動を組み合わせた小学生対象の健康関連体育、(3)「フィジカルベスト」や「フィットネスグラム」などフィットネステストを中心にしたプログラム などが開発されている。
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