本年度は、一年目であり定住外国人をめぐる状況、とりわけ教育問題に関する文献調査を主要に行った。 それ以外に、在日韓国・朝鮮人(以下在日コリアンと呼ぶ)への聞き取り調査を行った。その中で、ライフヒストリーとして普遍性の高い鄭頼子(チョンレジャ=日本名立山頼子)氏の生活誌や子どもの教育問題についての調査内容をテープに記録し、そのまま文章化して資料にした。その内容を踏まえながら「在日コリアン教育が国際理解に示唆するもの-異文化理解から多文化教育の発想へ-」、と題して、日本国際理解教育学会の紀要に発表した。内容は過去の在日コリアン教育の実践史を振り返り、コリアンへの教育が、コリアンを日本人化させる同化教育の段階、次にコリアンを理解の対象に据えた異文化理解の段階をたどり、英国の外国人教育とパラレルは歩みをたどったことを指摘した。 そして、今後は「同じことがいい」とする日本の学校文化や学級風土を相対化する多文化教育の発想に立つ必要性を力説した。 またニューカマーと称せられる中国からの引揚者、国際結婚の配偶者などへの聞きとり調査を続行している。
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