日本における定住外国人は約180万人である。彼らを大きく分けると二つに分けることができる。一つのグループは、戦前から日本に居住するオールドカマーとしての在日コリアンである。もう一つのグループは、最近居住するようになった中国人やブラジル人などのニューカマーの人々である。 そのニューカマーの人々も非常に多様なバックグラウンドを持っている。彼らの生活実態に則して分類すれば、次のように類型化できる。 (1)中国からの帰国者(残留孤児・婦人)およびその呼び寄せ家族で、日本に定着をしようとしている人々である。 (2)ブラジル、ペルーなど南米からの出稼ぎ労働者とその家族で、日本定着か帰国するか不安定な人々である。 (3)フィリピン、中国、タイなど国際結婚の配偶者として来日した人々で、圧倒的に女性が多く、二つの文化を持つダブルの子どもたちの教育課題を抱えている。 本研究では、それぞれのグループに共通する課題として、子どもたちがどのようにして民族的誇り(アイデンティティー)を獲得できるかを、周囲の目本人生徒との関係性で捉えてみた。 一つは、マイノリティの子ども達が、自分たちの文化や言語や同胞に出会う機会が保障されるか否かである。今一つは、日本の学校や学級において多様性や個性が尊重されているか否かである。 多文化教育は、マイノリティの子ども達に自分の民族性に触れる機会があり、それを温かく見守る周囲の日本人児童・生徒の寛容な雰囲気、即ち学校文化や学級風土が必須な条件であることが明らかになった。
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