研究概要 |
【研究目的】 本研究は,児童生徒の不器用感の意識を低減させる支援システムの開発のための基礎的研究を行うことを目的とした。 【研究方法】 予備調査は器用・不器用理由(小学校〜大学生518名),生活・自然体験(小学校から大学生まで547名),ものづくりの経験(小学校から大学生まで585名)について調査した。自由記述で回答を求めた。この予備調査結果から本調査の質問紙を作成した。実施期間は予備調査1998年10-12月,本調査1999年2〜3月である。 【結果及び考察】 予備調査を分析した結果,(1)器用理由の上位4項目に「細かいこと難しいことが出来る」「人から言われた」「上手くできる」「作るのが好き」を挙げ,不器用理由の上位4項目に「上手くできない」「細かいことがうまくいかない」「イメージ通りできない」「作るのが遅い」を挙げた。(2)器用・不器用意識群の家の仕事,上位10以内の項目には,両群の違いはなかった。しかし,「いつもする」と「時々する」場合,器用群は,挙げる項目の順位に変動は少ないが,不器用群は順位が大きく変動した。(3)器用・不器用意識の両群では,製作した作品の種類,道具,材料の上位10に大きな違いは認められなかったが。器用群ほど一人当たりの道具・材料を数多く挙げ,道具,材料に広がりがあった。(4)器用・不器用意識の両群には遊びの種類に差はなく,器用群ほど一人当たりの遊びが多く,遊びに広がりが認められた。器用意識群は多様な遊びやものづくりをしていると指摘できる。 【今後の予定】 この予備調査の結果を基に42項目の質問紙を作成し,全国から小学校3年〜6年の15校(5100名),及び中学校1年〜3年の15校(5200名)を抽出し質問紙調査した。現在,集計中である。このうち小学4年生と中学1年生は縦断的に3カ年継続して調査する。学年を横断的に分散分析し,さらに因子分析によって両群の意識構造を検討する。本成果は1999年日本産業技術教育学会で発表予定。
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