【研究目的】 本研究は、児童生徒の不器用感の意識を低減させる支援システムの開発のための基礎的研究を行うことを目的とした。 【研究方法】 予備調査は1998年10月〜12月、自由記述の形式で小学生・中学生・大学生を対象に器用・不器用理由(518名)、生活・自然体験(547名)、ものづくりの経験(585名)について調査した。(1999年日本産業技術教育学会中国支部大会発表)さらに、本予備調査をもとに本調査の質問紙を作成し、1999年2〜3月、小学校3年〜中学校3年の16都府県の児童生徒7819名を対象に調査した。(1999年日本産業教育学会発表) 【結果および考察】(1)児童生徒の道具操作への意欲、良い作品を作る意欲は極めて高いこと(両項目とも5件法で平均値4以上)。(2)ものづくりは極めて好きであること(80%)。器用感は中学校1年生が最も低くなること(38.7%)。(3)幼いころからものづくりの経験を多くしてきた児童生徒は、経験の少ない児童生徒と比較して、技能に対する有能感、自律感、作業結果の意識、作業の意識、経験・環境、他者からの評価、意欲など全てにおいて高いこと。また、計画性、製作する自己実現する力、自信、集中度、修正する力なども高く、他者からも高い評価を得ていること。さらに、家庭では、ものづくりの環境が整っていることを明らかにした。(4)中学生の時期に、働くことへの意識が明確に分離すること、また、小・中学校において、ものづくりの経験をより多くすることが、労働への関心を高めることを明らかにした。(5)器用意識群と不器用意識群をそれぞれ因子分析(プロマックス法)した結果、両群とも作業意識因子と評価・経験・環境因子との間に相関関係があり、また、器用意識群には巧緻的技能因子と両因子との間に関係があることなど、各意識群の意識構造を明らかにした。 【今後の予定】本成果は、2000年日本教育心理学会で発表予定。
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